昔々。 遠い国に、フィッツというお姫様がいました。 お姫様は「金魚姫」と呼ばれていました。 それはお姫様が5才の誕生日のときのこと。 王国の誕生パーティーで、王妃様からきれいなドレスをもらったとき、 まるで金魚のように口をパクパクとしている姿があまりに可愛く、 そのドレスも鮮やかなオレンジ色をしていたことから、 国民たちはお姫様を、その名前にかけて 「金魚姫(ゴールド・フィッシュ」と呼ぶようになりました。 +金魚姫とオリガミ王子+ 「アリーク!アリークはどこだ!」 王宮の厨房にコック長の声が響く 「はい!はいっここです!」 名前を呼ばれたコック見習いの青年はあわてて駆けつける。 「おぉ、アリーク、また買い出しに行ってきてくれ。明日は金魚姫の誕生日だ。特大のケーキを作るぞ!」 そういうコック長の頬はいつもよりさらに緩んでいた。 「買い出しですね。行ってきますっ」 「ほら、買い出しリスト。一人で平気か?リタを連れてってもいいぞ」 「いえ、大丈夫っす。んじゃ!」 アリークは勢いよく厨房を飛び出して町に出た。 一通り買い物を終えた帰り道、金魚姫のことを考えた。 この間の5才の誕生日のときから金魚姫は金魚姫と呼ばれるようになり、 一年たった今でも国民の癒しの存在だ。 アリークはそれまで父が営む一流洋菓子店を手伝っていたが、 金魚姫の誕生日に行われたパーティーの様子と、 王妃様からのプレゼントに驚く姫を見て、 王宮の厨房で働くことを希望した。 「誕生日、か……」 自分も何か出来ないか、そう考えていると、商店街の一角の雑貨屋の店頭においてあるものが目に付いた。 ・・…―* 「フィッツ姫、お誕生日おめでとうございます」 「おめでとうございます、金魚姫」 金魚姫はさっきから同じ台詞を延々と聞かされ、玉座の上でプレゼントを受け取っている。 (そろそろ飽きてきたな……) 姫がそう思い始めたころ、厨房のコック長が大きな箱を持って 「おめでこうございます姫。特性のケーキをおつくりしました」 と言った。そして大きな箱をかたわらにおき 「こちらはコック見習いのアリークからです。どうしても姫様に渡したいと」 そういって小さな箱をとり出した。 それまではもらったプレゼントは後で明けることにしていたのだが、 金魚姫はその小さな箱だけ、もらってすぐに開けてみた。 中には赤い折り紙で丁寧に折られた金魚が、たくさん入っていた。 「おとうさま!」 パーティーの後、金魚姫は父である王の元へ駆けた。 「なんだい、フィッツ。プレゼントはどうだった?」 「凄く嬉しかったよ、でも、あの、あのね――」 ・・…―* 「アリーク!」 「はい!?」 厨房での仕事中、アリークはまたコック長に呼び止められた。 「アリーク、王様が直々にお呼びだ。……おまえ、なんかしたのか?」 「え……?」 「まぁいい、王様を待たせるな、早く行け。」 「はい!」 アリークが王様の元へ駆けつけると、立っている王に隠れるようにしている金魚姫の姿があった。 「アリークと申します。……あの、なんでありましょうか。」 自分の言葉がおかしくなっているのが分かる。何しろ王様と話すのは初めてだ。 それに金魚姫までいる。 (プレゼント、嫌だったのかな……) 不安が頭をよぎる。 そんな不安をよそに王様はにっこりと笑う。 「君がアリークか。フィッツ、自分から頼んでみなさい。」 王様の大きな手に押されるように、隠れていた金魚姫が前に出た。 「あの、……あのねっ」 金魚姫が話し始める。 「金魚の折り紙、ありがとう。すっごく嬉しかったのっ。どのプレゼントよりも。かわいくて。それで、それでね……」 「私の……――お友達になって欲しいのっ!」 ・・…―* 目を開けて、隣を見る。 絵本を読んでいるうちに金魚姫は眠ってしまった。 アリークもつられて寝てしまったようで、外はもう日が落ちている。 あの日から、アリークは姫専属の「付き人」として、遊び相手をすることになった。 遊べば遊ぶほど姫はなついてきた。 アリークも手先が器用なことを生かして、ビーズでアクセサリーを作ったり、マジックを披露したり、 時々おやつを作ってあげたりもする。 折り紙は特に好きで、毎日のように作って欲しいとねだっている。 その姿はやっぱり餌を求める金魚のようだった。 「……ん、んー。ふぁあ、アリーク?」 「ん、起きた?」 「ねぇ……」 「――私、アリークのお嫁さんになる」 「えぇっ?」 「そしたら、いつも楽しいよねっ?」 「いや、そりゃそうかもだけど……」 「一緒に暮らして、で、折り紙いっぱい作って!」 「でもそれは好きな人同士がすることで」 「知ってるよっ!私アリークのこと好き。あいしてるっ」 「あいしてるって、どこで覚えた、その言葉……」 「お父様とお母様。いつも言ってるよ?」 「……この国は平和だ……」 王様にこのことを言ったら、どんな顔をするだろう?
……わけ分からん(お前が言うか) ブラウザバックでお戻りくださいな。